当院は、全国でも数少ない「悪性腫瘍に係る専門病院」の認可を受け、総合的ながん医療、総合的な地域医療を提供する役割を果たしております。
この制度の施設基準を満たす医療機関は全国で20余りのみで、道内外のがん拠点病院、診療連携拠点病院などから毎年約1,200人のがん患者さんを紹介していただいており、ことに緩和ケアにおいては、札幌市のがんによる死亡数の15-20%に相当する年間約750人のがん患者をお看取りしております。
緩和ケアはすべての疾患に共通する医療基盤です。
当院の医療とケアは、医療人養成教育において不可欠な要素と注目され、多くの研修、実習、見学を受け入れてきました。現在も、そしてこれからも、様々な臨床研修プログラムの一翼を担う形で、医療人の養成、教育にも積極的に参画してまいります。
看護部では、以下のような教育目標を掲げ、きめ細やかな人材育成教育を行っております。
教育目標
ペーシエントからパースンへの挑戦
ー患者の自由度を拡大することができるー
東札幌病院看護部クリニカルラダーと教育目標
レベル | (目安) | Ⅰ (1年目) | Ⅱ (2-3年目) | Ⅲ (4年目以上) | Ⅳ (主任・主任補佐) | Ⅴ (看護課長) | |
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定義 | 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する。 | 標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する。 | ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する。 | 幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する。 | より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する。 | ||
看護実践能力 | ニーズをとらえる力 | 目標 | 助言を得てケアの受け手や状況(場)のニーズをとらえる。 | ケアの受け手や状況(場)のニーズを自らとらえる。 | ケアの受け手や状況(場)の特性をふまえたニーズをとらえる。 | ケアの受け手や状況(場)を統合しニーズをとらえる。 | ケアの受け手や状況(場)の関連や意味をふまえニーズをとらえる。 |
行動目標 | 助言を受けながらケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から必要な情報収集ができる。 ケアの受け手の状況から緊急度をとらえることができる。 | 自立してケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から必要な情報収集ができる。 得られた情報をもとに、ケアの受け手の全体像としての課題をとらえることができる。 | ケアの受け手に必要な身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から個別性を踏まえ必要な情報収集ができる。 得られた情報から包括的アセスメントの視点を持ち、優先度の高いニーズをとらえることができる。 | 予測的な状況判断のもと身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から包括的アセスメントの順に必要な情報収集ができる。 意図的に収集した情報を統合し、ニーズをとらえることができる。 | 複雑な状況を把握し、ケアの受け手を取り巻く多様な状況やニーズの情報収集ができる。 ケアの受け手や周囲の人々の価値観に応じた判断ができる。 | ||
ケアする力 | 目標 | 助言を得ながら、安全な看護を実践する。 | ケアの受け手や状況(場)に応じた看護を実践する。 | ケアの受け手や状況(場)の特性をふまえた看護を実践する。 | 様々な技術を選択・応用し看護を実践する。 | 最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する。 | |
行動目標 | 指導を受けながら看護手順に沿ったケアが実施できる。 指導を受けながら、ケアの受け手に基本的援助ができる。 看護手順やガイドラインに沿って、基本的看護技術を用いて看護援助ができる。 | ケアの受け手の個別性を考慮しつつ標準的な看護計画に基づきケアを実践できる。 ケアの受け手に対してケアを実践する際に必要な情報を得ることができる。 ケアの受けての状況に応じた援助ができる。 | ケアの受け手の個別性に合わせて、適切なケアを実践できる。 ケアの受け手の顕在的・潜在的ニーズを察知しケアの方法に工夫ができる。 ケアの受け手の個別性をとらえ、看護実践に反映ができる。 | ケアの受け手の顕在的・潜在的なニーズに応えるため、幅広い選択肢の中から適切なケアを実践できる。 幅広い視野でケアの受け手をとらえ、起こりうる課題や問題に対して予測的および予防的に看護実践ができる。 | ケアの受け手の複雑なニーズに対応するためあらゆる知見(看護および看護以外の分野)を動員し、ケアを実践・評価・追求できる。 複雑な問題をアセスメントし、最適な看護を選択できる。 | ||
意思決定を支える力 | 目標 | ケアの受け手や周囲の人々の意向を知る。 | ケアの受け手や周囲の人々の意向を看護に活かすことができる。 | ケアの受け手や周囲の人々に意思決定に必要な情報提供や場の設定ができる。 | ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に伴うゆらぎを共有でき、選択を尊重できる。 | 複雑な意思決定プロセスにおいて、多職種も含めた調整的役割を担うことができる。 | |
行動目標 | 助言を受けながらケアの受け手や周囲の人々の思いや考え、希望を知ることができる。 | ケアの受け手や周囲の人々の思いや考え、希望を意図的に確認することができる。 確認した思いや考え、希望をケアに関連づけることができる。 | ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に必要な情報を提供できる。 ケアの受け手や周囲の人々の意向の違いが理解できる。 ケアの受け手や周囲の人々の意向の違いを多職種に代弁できる。 | ケアの受け手や周囲の人々の意思決定プロセスに看護職の立場で参加し、適切な看護ケアを実践できる。 | 適切な資源を積極的に活用し、ケアの受け手や周囲の人々の意思決定プロセスを支援できる。 法的および文化的配慮など多方面からケアの受け手や周囲の人々を擁護した意思決定プロセスを支援できる。 | ||
協働する力 | 目標 | 関係者と情報共有できる。 | 看護の展開に必要な関係者を特定し、情報交換できる。 | ケアの受け手やその関係者、多職種と連携ができる。 | ケアの受け手を取り巻く多職種の力を調整し連携できる。 | ケアの受け手の複雑なニーズに対応できるように、多職種の力を引き出し連携に活かす。 | |
行動目標 | 助言を受けながらケアの受け手を看護していくために必要な情報が何かを考え、その情報を関係者と共有することができる。 助言を受けながらチームの一員としての役割を理解できる。 助言を受けながらケアに必要と判断した情報を関係者から収集することができる。 ケアの受け手を取り巻く関係者の多様な価値観を理解できる。 連絡・報告・相談ができる。 | ケアの受け手を取り巻く関係者の立場や役割の違いを理解したうえで、それぞれと積極的に情報交換ができる。 関係者と密にコミュニケーションを取ることができる 看護の展開に必要な関係者を特定できる。 看護の方向性や関係者の状況を把握し、情報交換できる。 | ケアの受け手の個別的なニーズに対応するために、その関係者と協力し合いながら多職種連携を進めていくことができる。 ケアの受け手とケアについて意見交換できる。 積極的に多職種に働きかけ、協力を求めることができる。 | ケアの受け手がおかれている状況(場)を広くとらえ、結果を予測しながら多職種連携の必要性を見極め、主体的に多職種と協力し合うことができる。 多職種間の連携が機能するように調整できる 多職種の活力を維持・向上させる関わりができる。 | 複雑な状況(場)の中で見えにくくなっているケアの受け手のニーズに適切に対応するために、自律的な判断のもと関係者に積極的に働きかけることができる。 多職種連携が十分に機能するよう、その調整的役割を担うことができる。 関係者、多職種間の中心的役割を担うことができる。 目標に向かって多職種の活力を引き出すことができる。 | ||
教育 | 学習・教育する力 | 目標 | 手順・マニュアルを活用し、基本的な知識、技術を習得できる。 | 患者・家族への指導ができる。 | 後輩に対する指導ができる。 | 学生・後輩の成長を促進する効果的な指導ができる。 | 部署で必要な教育計画を立て実践できる。 |
行動目標 | 患者、家族に適切な説明をし、不安を軽減しながら共に学び合うことができる。 実施する看護行為の裏づけを自己学習できる。 | ケアの継続を考えた患者、家族への指導・支援ができる。 新人の身近な存在として、ケアの指導・助言ができる。 | プリセプターとして、個別性を尊重した新人の指導ができる。 後輩にインフォームド・コンセントの本質に基づいた指導ができる。 患者、家族の個別の状況と深く関わり、そのプロセスを通して共に成長することができる。 | 部署内の研修や学習のリーダーシップをとることができる。 臨床実習の担当者として学生と共に成長することができる。 スタッフ個々の状況に応じた教育的な指導、支援ができる。 | 部署内の専門性及び課題を考慮し、研修や学習会の企画、運営をすることができる。 「グローバルにみてローカルに行動できる」専門職業人として自己啓発を継続できる。 | ||
研究 | 研究する力 | 目標 | 事例発表ができる | 焦点を絞った看護事例の発表ができる | 看護研究を計画し主体的に取り組むことができる | 部署における研究の指導ができる | 専門分野における研究を行い、研究成果を看護実践に活かすことができる |
行動目標 | 実践した看護事例をまとめ、発表することができる。 | 焦点を絞った看護事例をまとめ、発表することができる。 | 看護実践の質向上を目指した研究に取り組みまとめ、発表することができる。 チームで行う研究のリーダーシップをとることができる。 | スタッフの研究の取組みに対して、タイムリーに助言、指導ができる。 特定の領域における研究を継続し、看護の質向上に貢献できる。 | 個々のスタッフの研究への取組みを支援し、学習する組織文化の創造に貢献できる。 専門職業人として自らも研究テーマをもち、継続して取り組むことができる。 |
教育計画例
(毎年、下記のような教育計画を立案し、様々なレベルの研修を実施しております。)
1年目研修 | * 生活の営みを整える援助技術:入院環境、生活技術 * 与薬技術:皮下・皮内・筋肉・静脈注射の見学 1.生活の営みを整える援助技術を学ぶ。 1) 看護の基本姿勢を学ぶ。 ・食事援助 ・活動と休息の援助技術・感染管理 2) 看護技術を支える要素を理解する。 ・呼吸を整える援助、与薬技術:麻薬の内服・貼付剤・坐薬、採血技術 3) 与薬技術を学ぶ。 ・血液製剤の理解と取り扱いについて ・シリンジポンプ・輸液ポンプ等の取り扱い ・皮下注・筋注・末梢留置カテーテル挿入技術を学ぶ ・救急救命処置技術:気道確保・人工呼吸・心臓マッサージ 4) 多重課題への対応ができる。(看護必要度研修) 2.事例を通して患者の全体像の把握ができる。(レベルⅠ) 1) 肺癌患者の全体像を把握・アセスメント、看護計画立案。 2) 自分の行った看護を「事例報告」としてまとめ、発表することを通して看護を評価する力、プレゼンテーション能力を高める。 | 新卒看護師 |
プリセプター研修 | チームメンバーと共にプリセプティの成長を支援できる。 1) 看護技術の到達状況を情報交換し、プリセプティへの関わりを考える。 2) プリセプティの成長を振り返り、プリセプターとなって得られたことを確認・共有し、次年度のプリセプターへ提言をする。 | 卒後5年目 以上看護師 |
がん看護研修 | がん看護に携わる者としてそれぞれの分野を段階的に学習しながら専門的能力を高めることができる。 | |
緩和ケア研修(レベルⅢ) がん患者の苦痛症状に対するマネジメントができる。家族看護が理解できる。 | ||
化学療法研修(レベルⅢ) がん化学療法看護の果たす役割について理解する。 | ||
スキンケア研修(レベルⅢ) 創傷ケアを必要とする患者に適切なケアができる。 | ||
中堅看護師研修(レベルⅢ) 自己の専門分野を見出し、それに向かって研鑚を積むと共に、組織・チーム内で担う役割を果たしていける。 | ||
3年目研修(レベルⅡ) がんの成り立ちと症状マネジメントの基礎と実践を学ぶ 訪問看護ステーション(1日、10月) 居宅・包括(半日、11月) | ||
2年目研修(レベルⅡ) 患者・家族のニーズに合わせた看護過程を展開できる。 1) 患者の全体像を把握し、病態生理に基づいたアセスメント能力を身につける。 2) デイ・グリューネン老健施設研修(1日、8月)採血技術 3) 自分の行った看護を「事例報告」としてまとめ、発表することを通して看護を評価する力をつける。 4) 化学療法におけるアセスメント方法を理解する。 | ||
既卒者研修 Ⅰ(レベルⅡ) 1) 病院の理念を理解する。(看護必要度研修) 2) がん看護の基礎と実践を学ぶ(がんの成り立ち、症状マネジメント) | ||
既卒者研修 Ⅱ(レベルⅢ) 1) がん看護の基礎と実践を学ぶ(がんの成り立ち、症状マネジメント) 2) 自分の行った看護をまとめ、発表することができる。 | ||
ELNEC-J研修(レベルⅡ) エンド・オブ・ライフケアの基礎について学ぶ 1) 症状マネジメント① 2) 高齢者、コミュニケーション 3) 倫理、文化的配慮、症状マネジメント② 4) 喪失・悲嘆・死別、臨死期、質の高いエンド・オブ・ライフケアの達成 | 新採用の既卒看護師 | |
臨床指導者研修 | 看護教育における実習の意義・目的および学生指導を行うための知識と方法を学び、臨床指導者としての資質の向上を図る。 | 臨床指導者 |
主任補佐研修 | 特定の領域における専門能力を高めると共に、患者、家族、スタッフの資源になることができる。 | 主任補佐 |
主任研修 | 特定の領域における専門能力を高めると共に、患者、家族、スタッフの資源になることができる。 | 主任 |
看護課長研修 | 組織の理念、基本方針の定着につとめ、活性化する組織作りに貢献できる。 | 看護課長 |
看護課長・主任研修 | 組織の理念、基本方針の定着につとめ、活性化する組織作りに貢献できる。 | 看護課長 主任 |
電子カルテ操作研修 | 電子カルテの操作方法を理解できる。 | 新採用者 |
分野名 | 人数 |
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がん看護専門看護師 | 3名 |
緩和ケア認定看護師 | 3名 |
がん性疼痛看護認定看護師 | 1名 |
がん化学療法看護認定看護師 | 1名 |
皮膚・排泄ケア認定看護師 | 2名 |
感染管理認定看護師 | 1名 |
当院では、その他の研修・実習・見学も受け入れております。
東札幌病院2019年度 研修生・実習生・見学 受け入れ実績
受入部署 | 施設名 | 人数 | ||
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病院見学 | 北海道大学保健学科(香港大学看護学部) | 2年生 | 4 | |
済生会横浜市東部病院 緩和ケア内科 医師 | 1 | |||
医局 | 札幌医科大学医学部 「地域包括型診療参加臨床実習」 | 6年生 | 2 | |
6年生 | 2 | |||
6年生 | 2 | |||
6年生 | 2 | |||
札幌医科大学医学部 | 1 | |||
札幌医科大学医学部 | 1 | |||
北海道大学歯学部 | 1 | |||
薬剤課 | 北海道科学大学 病院実習 | 1 | ||
北海道科学大学 病院実習 | 1 | |||
リハビリテーション課 | 手稲渓仁会 リハビリテーション部 | 見学 | 2 | |
大谷大学 音楽療法 | 見学 | 1 | ||
栄養課 | 名寄市立大学 保健福祉学部栄養学科(実習) | 4年生 | 1 | |
光塩学園女子短期大学 食物栄養学科(実習) | 2年生 | 2 | ||
地域連携室 | 北海道医療大学 「在宅看護学実習」 | 4年生 | 2 | |
北海道医療大学 「在宅看護学実習」 | 4年生 | 2 | ||
北海道医療大学 「在宅看護学実習」 | 3年生 | 2 | ||
診療情報管理室 | 青山建築デザイン・医療事務専門学校 | 2年生 | 1 | |
歯科・歯科口腔外科 (歯科衛生士) | 北海道医療大学歯学部附属歯科衛生士専門学校 | 3年生 | 6 | |
NSTチーム | 天使大学 看護栄養学部 看護学科・栄養学科 | 4年生 | 8 | |
2 | 天使大学 看護栄養学部 看護学科・栄養学科 | 4年生 | 8 | |
3 | 天使大学 看護栄養学部 看護学科・栄養学科 | 4年生 | 8 | |
4 | 天使大学 看護栄養学部 看護学科・栄養学科 | 4年生 | 8 | |
看護部 | 市立釧路総合病院 看護師 | 1 | ||
八戸市立市民病院 看護師 | 3 | |||
北海道医薬専門学校(看護学生実習) | 3年生 | 22 | ||
天使大学看護栄養学部看護科(学生実習) | 1年生 | 8 | ||
天使大学看護栄養学部看護科(学生実習) | 3年生 | 9 | ||
天使大学看護栄養学部看護科(学生実習) | 4年生 | 12 | ||
北海道看護専門学校(学生実習) | 1年生 | 20 | ||
北海道看護専門学校(学生実習) | 3年生 | 15 | ||
西野学園 札幌医学技術福祉歯科専門学校 | 2年生 | 30 | ||
日本医療大学(看護学生実習) | 2年生 | 12 | ||
日本医療大学(看護学生実習) | 4年生 | 24 | ||
札幌保健医療大学 | 4年生 | 9 | ||
加茂暁星高等学校衛生看護学科(新潟県 見学のみ) | 4年生 | 15 | ||
小樽市医師会看護高等専修学校(見学のみ) | 2年生 | 37 | ||
医学科生 | 札幌医科大学 医学部医学科(看護体験実習) | 2年生 | 4 | |
職場体験 | 札幌市立八条中学校 | 2年生 | 5 | |
札幌市立東白石中学校 | 2年生 | 6 | ||
札幌市立東札幌小学校 | 6年生 | 2 | ||
柏丘中学校 | 2年生 | 3 | ||
ふれあい看護体験 北海道札幌啓成高等学校 | 3年生 | 3 |
〒003-8585
北海道札幌市白石区東札幌3条3丁目7番35号
電話番号:011-812-2311 FAX番号:011-823-9552